自動車には現在、9種類もの税金が課せられています。トラックを含めた自動車全体の税負担は、年間8兆円の巨額にのぼり、租税収入全体のおよそ1割を占めています。そのうちトラックについては、取得、保有、走行の各段階で課税されており、取得時に自動車取得税(営業用は取得価格の3%)、保有段階では自動車税(営業用の最大積載量5トン車・標準税額18,500円/年)、自動車重量税(営業用は車両総重量×2,700円/年)、走行に必要な燃料には軽油引取税(32.1円/リットル)、揮発油税(48.6円/リットル)と、主なものだけでも5種類あります。その負担額は年間で6,884億円、営業収入のおよそ5%に相当します。安全の確保など公共輸送機関としての使命達成のためにも、過重な税負担の軽減が求められています。
9つの自動車関係諸税のうち、5つは道路特定財源として、主に道路整備に充てられていましたが、平成21年3月に地方税法等、4月に道路整備事業に係る国の財政上の特別措置法が改正され、揮発油税、軽油引取税をはじめとする道路特定財源が一般財源化されました。これにより、本来国民が公平に負担すべき防衛や福祉、債務返済などの様々な一般財源について、自動車ユーザーだけが過重な負担を強いられることとなり、著しく税の公平性に反する措置となっています。
揮発油税、軽油引取税の暫定税率は、22年度税制改正で「当分の間」税率として維持され、ガソリン価格高騰時(総務省統計で3カ月連続160円を超えた場合)にこの課税を停止する、いわゆる「トリガー条項」が創設されましたが、23年4月に成立した「東日本大震災の被災者等に係る国税、地方税関係法律の臨時特例に関する法律」で、大震災の復旧および復興の状況等を勘案し、別に法律で定める日までの間、一時凍結することが決まりました。
22・23年度税制改正大綱で、エコカー減税期限到来時(24年3・4月)に車体課税の抜本的な見直しを行うとされており、全日本トラック協会では、エコカー減税の期限を迎える24年度税制改正において、自動車関係諸税の簡素化・軽減を求め、自動車関係団体と連携し、署名活動を実施する等強力な要望活動を展開することとしています。
|
|
 |
過重な税負担とともに、高速道路料金も引き下げが求められています。全日本トラック協会では、従来から高速道路料金の大幅な引き下げを求める運動を展開してきましたが、道路関係4公団民営化の果実として、平成17年4月から平均1割程度の料金値下げが実現しました。ETC(ノンストップ自動料金収受システム)利用を前提とした新たな割引制度として深夜割引、早朝夜間割引、通勤割引、大口・多頻度割引、マイレージ割引の5種類の割引制度が設けられました。
20年度の数次にわたる経済対策で、深夜割引率の拡大や平日昼間3割引の創設、乗用車の休日上限1,000円などが実施されました。22年6月から23年6月まで、高速道路無料化社会実験が首都高速、阪神高速を除いた全体供用延長の約2割となる1,652kmで実施されました。
その後、23年3月の東日本大震災発生を受けて国土交通省は、23年6月19日で無料化社会実験を一時凍結するとともに、乗用車の休日上限1,000円も廃止し、2,500億円を被災地の復旧・復興費用に充てました。また、翌20日からは被災地の復旧・復興を支援するため、東北地域を発着する被災者・避難者と中型車以上の車両に対し高速道路を無料開放しました。しかしながら、当初の想定以上に、被災証明等を提示した利用が多く、予算が逼迫。加えて、トラックによる目的外利用が社会問題化したことも一因となり、中型車以上は8月末で終了しました。
なお、トラック運送業界では高速道路料金に関する基本要望として、基本料金の半額化以下への引き下げおよび営業用トラックに対する特別割引制度の創設等を強く要望しています。
|
 |
|
 |