『ガングリオン』って聞いたことありますか?

 関節の周辺に「あずき大」から「ピンポン玉」の大きさまでの(こぶ)ができることがあります。これはガングリオンと呼ばれ、関節包(関節を包むふくろ)や(けん)(しょう)(腱を包む(さや))の変性により生じると考えられています。このガングリオンという言葉には「塊」という意味があり、瘤の内部にはゼリー状の粘液が充満しています。

1.         ガングリオンとは?
 関節や腱鞘に発生する良性の(しゅ)(りゅう)です。手首や手背、足首、膝などにみられることが多く、10代〜20代の女性に多いと言われています。

2.         症状

ガングリオンは皮膚の表面からはやわらかく触れることも硬く触れることもあります。普通は違和感や不快感がある程度ですが、とくに手背や手首にできたガングリオンはほかの場所にできたものより神経や血管を圧迫しやすいため強い痛みやしびれをともないやすくなります。

3.         診断
 注射器での中を吸ってみてゼリー状の内容が出たら、ガングリオンと確定診断できます。

4.好発部位(図1)とガングリオンができる原因

 手首、手背、膝窩(しっか)(膝のうら)などに出ることが多く、靭帯や腱鞘、神経内、半月板のほか骨内にも発生します。関節包、靭帯周辺の(かつ)(まく)細胞、線維(せんい)(が)細胞などが繰り返刺激を受けた結果、粘液を産生し小嚢胞(のうほう)(ふくろ)を形成、さらにそれらが集合してできると考えられています。したがって、このふくろ状のガングリオンは関節や腱鞘につながっており、関節や腱鞘から送り込まれた関節液や滑液が濃縮されてゼリー状となって腫瘤のふくろの中に詰まっていると考えられています。

5.治療

1.穿刺吸引(図2)

痛みのないものを放置しておくと自然に打撲などでつぶれることがまれにありますが、神経を圧迫して痛みやしびれなどをともなうようになると注射器で内容を穿刺吸引するなどの治療が必要となります。運動神経障害、とくに手の掌の母指球(親指の根っこ)が萎縮している場合には早めに処置することが大切です。

まずは診断と治療を兼ねて穿刺吸引します。注射器で中身を抜いても夕方には膨らんできた!というケースも聞かれるので、抜いた後は1〜2週間ほど包帯で圧迫しておくことが再発させないための大切な工夫です。また内服薬では効果的なものはありません。

2.繰り返す場合は手術が必要!

注射器で抜いているうちできなくなることもあります。しかしながら再発の頻度と症状により、手術が必要かどうかの判断も必要となってきます。根本的な治療はできてしまったふくろを手術で取ることですが、手術で多少手の動きが不自由となったり、ぎこちなくなったりすることもあるので、手術は最終手段と考えたほうがよいでしょう。また手術してもガングリオンの一部を切除しきれないで取り残しがあるケースでは決まって再発してしまいますので、再び出てこないとの断言もできにくいのです。さらにはガングリオンが神経や血管の近傍から発生していることがあり、その周囲には手先に行く血管や腱、神経があるため手術に際しては十分な注意が必要で、熟練した整形外科医、できれば手の外科を専門とする医師に相談するのがよいでしょう。

3.最近では低出力半導体レーザー治療も出現!

穿刺などの治療で効果がなかったり、手術を望まれないケースに対して、最近「低出力半導体レーザー治療」を週3回〜4回、1ヶ月から2ヶ月実施すると約80%の人に効果があったとする報告もあります。

図1 ガングリオンの好発部位

図2 膝窩にできたガングリオンに対する穿刺